2011年6月18日土曜日

フロム・ダスク・ティル・ドーン

フロム・ダスク・ティル・ドーン (新潮文庫) [文庫]

クウェンティン タランティーノ (著), Quentin Tarantino (原著), 芝山 幹郎 (翻訳)

映画の脚本なので、「タランティーノのファン」「クライブ・バーカーの序が読みたい」「脚本の研究のため」などの理由がないと買わないかなと思います。

映画を観てから読むか、読んでから観るか、については、観てからの方がいいと思います。
観てから読んで、もう一度観ると細部が分かって面白いような気が。

まぁ、そこまで観たい映画か、というのはあります。

監督はロバート・ロドリゲスだったのか!
っていうか、ダニー・トレホ出てたんだ。
もう一回見直さなきゃ。

以下ネタばれあり。
以下ネタばれあり。

主人公が銀行強盗の犯罪者セス・ゲッコーであり、奇妙なユーモアに満ちていることから案外伝統的なピカレスクなのかな、と思います。

セスも悪党ですが、弟のリチャード・ゲッコーは兄以上の下種な悪党です。
兄を上回る人でなしぶりを発揮しますが、その役をタランティーノが演じ、これが実にはまっています。

話は銀行強盗後の逃避行中から始まります。

「地味に」というセスの願いもむなしく、リチャードのキれた行動で、事態は時々刻々悪くなっていきます。
目的は国境を越えてテキサスからメキシコに行くことなのですが、行く先々で犯罪を重ねるせいで、国境の警備が厳しくなっていきます。

思案していた時に、セスはフラー一家と出会います。

妻を悲惨な事故で亡くした父ジェイコブ、娘のケイト、養子で息子のスコットは、牧師としての信仰心を失った父の意向でメキシコへ行く途中でした。

この一家を人質にしたセスは国境越えを計画し、ケイトの機転で見事メキシコ入りを果たします。
一行はセスの指示でメキシコでの身元保証人との待ち合わせ場所へ向かい、看板を見つけます。

32 輝くネオン

《ザ・ティッティ・ツイスター
バイカーとトラッカーのバー
フロム・ダスク・ティル・ドーン /実際にはルビ
日暮れから夜明けまで》
ここからまでが前置きで、ここからが本編である吸血鬼たちとの戦いになります。

前置きは長いのですが、ここまでの話の中で、悪党のゲッコー兄弟と人質のフラー一家との間に信頼関係ができています。
それはわずかな欠片なのですが、今後の展開に大きな意味を持たせているように思います。

酒場で、ジェイコブはセスを「負け犬」呼ばわりして一喝します。

リチャードよりは多少紳士とはいえ、自分への非難は弟であるリチャードにさえ許さないセスが、その後に続くジェイコブの言葉を受け入れ、共に酒を飲みます。

逆に窮地にたった状況を何とかしようと、セスは温和なジェイコブが激情して殴りつけてくるほどの罵声にも似た言葉を投げかけ、神への信仰心を取り戻させます。

吸血鬼というかゾンビというか。異形のものとの戦いは熾烈を極めます。
吸血鬼を倒しつつも、人間も死んでいき、セスとケイトだけが生き残ります。

前置きの長さに比べると終幕はあっさりしています。

ケイト「連れは要らない?」

      セス、にっこりとする。

セス「ケイト、おれは悪党かもしれないがな、腐れ悪党じゃないぜ」
死地を生き残った戦友として、セスとケイトは笑顔で別れます。
何事もなかったかのように。



 

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