最大の長所は「無料」ということでしょう。
「ボランティアの方々の校正作業で正確さが保たれている」、「出展が明かにされている」も長所だと思います。
また、「本」が絶版の場合には、青空文庫の収録作品の方が揃っていることがあります。
最大の短所は「ほとんどが古典」ということでしょう。
小説ではないですが「伽藍とバザール」のエリック・レイモンドの作品があったり、新訳の作品があったりしますが、量は多くありません。
「ジャングルブック」の新訳「モウグリの兄弟たち」のような作品は全訳ではないので、先の話を知っているとモヤモヤが残ったりします。
「RUR」の新訳で全訳もあるので、途中までというのは悩ましく感じます。
「青空文庫」の欠点ではなく、作品の特長でしかないことで、現代小説と比べて「地文が多い」「地文にしても会話文にしても長い」「漢字が多い」も欠点に思えるかもしれません。
今回のネタは「空家の冒険 コナン・ドイル 三上於莵吉訳」を読んでいて思いついたので、これをサンプルにもう少し考えてみました。
「文章が長い」は読んでいただくとして、例えば次の3つの中で、読めて意味が分かったのは3番目だけ。
断然異数とするものであったと思っている。
……
あるいは興味索然とするかもしれないが
……
それはあんまり御叮嚀すぎますな、
読めたというのも「漢字が分からない時は右側の『つくり』だけで考えてみる」という裏技のような読み方で「丁寧」と読んでみただけです。
「だんぜんいすう」や「きょうみさくぜん」は読めても何のことだか分かりません。
彼はボールドウィン、キャバンディッシュ、バカテルと云う骨牌倶楽部(かるたくらぶ)の会員であったが、
大英帝国にカルタクラブはないだろうと思いますが、シルクハットに片眼鏡でカルタに興じるジェントルマンというのは想像できません。
さらに……
「一たい本当に君なのかえ? 君が生きているなどと云うことは、有り得ることなのかえ? 君はあんな恐ろしい深淵から、這い上ることが出来たのかえ?」
ホームズが宿敵モリアーティ教授との死闘から帰還する1作めなので、ワトソン君の驚きも分かりますが、しかし、これでは岡っ引きと下っ引きの会話。
そこでホームズとワトソンが活躍していたヴィクトリア朝が日本のいつ頃かを調べてみると、幕末くらい。
とすると、ホームズとワトソンが現代語をしゃべっているわけがないので、こういう訳でもいいのかな、いや、本当はこういう訳じゃないとおかしいに違いない、とも。
「空家の冒険」は推理部分は弱いと思いますが、ホームズのワトソン君しか友達いないだろうと思える性格の悪さが充分に描写されているので面白いと思います。
数多くの探偵の中で、知り合いに親切で友情に篤いけれど、基本的には底意地が悪い人間性のホームズは好きです。
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